聖マリアンナ医科大学感染症学講座は平成28年9月1日付で開講し、教授を拝命いたしました。1996年、世界保健機関(WHO)は「我々は今や地球規模で感染症による危機に瀕している。もはやどの国も安全ではない」との警告を発して以来、人類は様々な新興・再興感染症および新型薬剤耐性菌の脅威に見舞われ、感染症診療の推進は必要不可欠となっています。
適切な感染症診療は治療経過に大きく影響し、重症感染症に加えてプライマリケア領域での感染症についても、質の高い診療を行うことが求められています。本学の診療レベルは極めて高く、従来からも感染制御部ならびに臨床各科、スタッフとのコミュニケーションが十分図られており、これらをより一層充実することに加えて、卒前・卒後教育においても更なる体制の整備を行って参ります。
現在、日本では感染症を専門とする医師が圧倒的に数少なく、その育成が急務となっています。常に”探求心”を持って、横断的に連携した研究を展開します。感染症は地域で伝播拡散する疾患であり、医療施設、行政機関、社会全体における感染症ネットワークを構築することが最も重要な対策と考えております。
この度、感染症学講座が開講したのは、これまで多くの先輩方の志あってのことと考えております。これから抜群の大学人、医療人を育成して社会に貢献できるよう、努力したいと考えております。まだまだ若輩でございますので、皆さまのご指導、ご鞭撻を賜りたく宜しくお願い申し上げます。
聖マリアンナ医科大学感染症学講座
教授 國島広之